「緊張」「あがり」の感情に、どのように対処していくか?
大勢の人や上司のような偉い人の前に立つ時、重要な局面に立った時など、人は誰しも「緊張する」「あがる」ことがあると思います。今回は、「あがり」「緊張」に対する処方箋を、自らの見解を混じえて考えていきたいと思います。
▼緊張するのは自然な反応 まずは「緊張」を知る
恐らく、自分の力を引き出すための自然な生理作用なのでしょう。
臨戦態勢という言葉があります。「これから戦うぞ」という、身体の準備ですね。戦うためには、気が緩みっぱなしではいけません。『気合』を入れる必要があります。この『気合』が、実は『緊張』だと思いますね。
サラリーマンでもプロのスポーツ選手でも、プレッシャーがあるからこそいい仕事が出来ます。プレッシャーも何も無ければ良い成果は上げられない。ほどよい緊張がパフォーマンスを高めてくれます。
ほどよい緊張ならいいですが、緊張しすぎるのは困るますね。いわゆる、”あがる”、というやつです。なぜそうなるのでしょうか。体質にもよりますが、自分を実力以上に見せようとするためではないでしょうか。
「緊張する」ということは、基本「臨戦態勢」で望むことにより、脳が危険から身を守ろうとする「自然な反応」ということになります。
要は、脳が反射的に「重大な事態」を察知し(反射)、身を引き締めてくれるという重要な反応ではあるのですが、度を超えると、逆にあがり過ぎて重要な時に喋れないなどの弊害が起こるということになります。あがりの感情は、「強迫観念」にも絡んでいるとも言えます。
▼では、「緊張」をやわらげるための対処法は?
<対処法その1>大いにアガる
心理学者の解説では『新しい事態に適応しやすい適応型の人は、すぐにアガるのです。心臓がドキドキしてアガったほうが血のめぐりがよくなって、それだけ新しい事態に対処する能力も高まるわけです』
アガることは、新しい事態に対応するために緊張することで、アガるから新事態にうまく適応できるということです。
アガらない人の方が上手くしゃべれないようですね。
『アガればアガる程新しい事態に適応する準備なので大いにアガると良いそうです』
『アガったからもう大丈夫』と理解する事だそうです。
眠れないときに(眠らなきゃ、眠らなきゃ)と思っていると、かえって眠れなくなるのとも似ています。
このときに
「もっと緊張するぞ!足よ震えろ!!」
などと自分に語りかけると、過度に緊張した少し滑稽な自分を『客体視』するということが起こります。 【予期不安】に取り込まれるのではなく、不安を茶化して外側に見るということが可能になるわけです。こうすると『可笑しさ』が『緊張』に取って代わります。
こうしたアプローチのことを【逆説志向】といいます。
「緊張するな!」と思う心(予期不安)に襲われるぐらいな ら、逆に「もっと緊張しろ!」と考えて適応力を高める方法が、いわゆる「逆説志向」ということになります。緊張が解けないなら、自らが緊張しやすい性格で あることを受け入れて楽になった方が、実は精神的にもよろしいのかもしれません。
<対処法その2>イメージトレーニングを行う
あがり症の人は、人前で話しているところを想像すると緊張してきます。これも条件反射のようなものです。何回か、人まで緊張した人は、「人前にでる→緊張する」という事が普通になってきます。
人前で緊張しないようにするには、慣れる事が一番効果があるようですが、人前で緊張する人にとっては慣れるのは苦痛かもしれません。そこで、まず「想像しただけでは緊張しない」という事を目指す方が良いと思います。
具 体的な方法として、想像で緊張してきたら、体全体に力を入れて脱力し、緊張状態とリラックス状態を自分でコントロールできるように訓練します。想像の世界 で緊張をときほぐせるようになったら実際に少人数の前で実践します。少人数の前で緊張が自分でコントロールできるようになったら、発表会などの場で実践し ます。
これは実践に基づいた方法であるともいえます。長期的な対策でもいいから、緊張を和らげたい時に有効でしょう。
<対処法その3>あくびを意識的に行う
なぜ、あくびで緊張が解けるのか。
緊張と言うのは、不自然に力がかかった状態。力が抜ければ、緊張は解ける。緊張が解けると、あくびが出る。だから、リラックスするとあくびが出る。穢れ(=不純物)という概念を使うと、あくびで穢れを吐き出す、ということになる。
逆に、あくびを意識的にすることで、穢れを外界に誘導することが出来る。そのため、あくびやセキを意識的に行うことで穢れを祓うことができる。ヒーリング手法と言い換えてもいい。
欠伸が出るくらい、大きく口をあけて、頬も伸ばして、目も大きくあけて、鼻だけで呼吸するようにします。(実際に欠伸が出ればgoodです。)
これはスポーツ医学で既に取り入れられている方法です。
例えば、女子マラソンで驚異的な世界記録をつくったある選手は、口を開けて走ることで、余分な緊張を取り、ばてないで、猛スピードで最後まで走り切りました。
有名な野球選手も、バッターボックスでは、口をあけるところまではしていませんが、上顎と下顎を離して、緊張しないようにしています。緊張したまま、強い力でバット振ると、筋肉を痛めるので、その防御策として身体は力をセーブしてしまいます。
このように、口を大きくあけると、筋肉が開放されて、ごまかしたり、とりつくろっていたマイナス(苦痛や危険)を、正面から自覚できるようになります。
実際に口を大きく開けて、あくびをしてみたら、身体がすっきりする気分になりました。
ただし、口を大きく開ける必要があるので、顔を崩したくない人向けになるでしょうか。緊張状態にどうしても耐えられず、楽な気分を味わいたい!という人にはオススメです。